胸の音‐大好きな人へ‐

時間の流れが遅く感じる灰色の冬の中でも、時計の針は休むことなくクリスマスまでの時を刻み続けた。

……あと9日。
……8日。
7日。

春佳専用メロディーをいっこうに鳴らさないケータイが、ただの電子機器の塊になりかけてる。


普段仲良くしてるヤツらからメールがきて、忘年会とかプチ旅行に誘われたりしたけど、全部行かないって返信した。


この数日間のうちに気付いたことがある。

春佳はいつも、こんな気持ちで俺との恋愛をしてたんじゃないのか?って。

春佳が外出したり、夜友達と会うってメールをよこしてきた時は身の安全を心配してこっちからも連絡してたけど、

基本的に俺は、何もないと2~3日に1回くらいしか春佳にメールを入れてなかった。

春佳がどんな気持ちで俺のメールを待ってるのかって想像もせず、毎日メールしたらウザがられると決めつけていて……。


嫌われたくない。

いい彼氏って思われたい。

フラれたくない。

自分のことしか考えてなかった愚(おろ)か者……。


好きな人から連絡が来ないっていうことがこんなに苦しいだなんて、知らなかったよ。

春佳のこと、いっぱい傷つけてたよな?


本当にごめん……。

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