胸の音‐大好きな人へ‐
クリスマスを数日後にひかえた肌寒い朝。
大学に行くはずの時間帯に、ざわつくホームを早足で通り過ぎ、名古屋行きの新幹線に飛び乗った。
春佳に会いたい。
もう、画面越しにかっこつけたりしない。
別れることになったらすごくつらいけど、最後に本当の気持ちを言ってスッキリしてやる。
弱い俺にサヨナラしてみせるんだ……!
30分ほどで名古屋に着いた。
相変わらず人気が多くて、心なしか道行く人々は楽しそうで、俺は一人だけ違う世界に取り残されているような疎外感を味わったが、気をひきしめる。
考えはまだまとまっていないし、この期に及んで『フラれたくない』とクヨクヨしている情けない気持ちは膨らみ続けている。
けど、ここまで来たらもう引き返せない。
騒がしく長いホームを人を避けつつ移動し、春佳宅の最寄駅に行く電車に乗り換えた。