胸の音‐大好きな人へ‐


午後8時。

近くのネットカフェで春佳がパチンコ屋でのバイトを終えるのを待ってから、また店まで春佳を迎えに行った。

街はまだ眠ってなくて街灯が明る過ぎるから、真っ暗な夜空には星ひとつ見えない。


「お待たせ! やっぱり外寒いね」

バイト中はサンタコスをしてた春佳も私服に着替えていて、前と変わらない笑い方をする。

唇だけは前のままで、目とメイクが変わっても春佳は春佳なんだと分かった。


変わりに変わった春佳は、黙りこくる俺にすがるような視線を向け、

「まさか、こっちに来てると思わなかった」

「……距離置いたのは、顔変えるため?」

春佳に対して怒りなんてない。

むしろ、春佳のコンプレックスに気付けなかった今までの俺に腹が立ってる。

なのに、そう春佳に問い掛けると八つ当たりみたいにキツい口調になってしまった。

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