胸の音‐大好きな人へ‐
春佳の涙には、俺とのことに重なって中学時代のトラウマも混じってるんだ……。
「圭は軽い気持ちだったのかもしれないけど、他の女の人をほめる圭を見てると悲しかった。
本当はそういう人がタイプなのかなって、私とは嫌々付き合ってるのかなって、不安になって……」
「そんなことない」と否定しようとしたら、強い語気で阻まれてしまう。
「みんなそうだもん!
可愛い女がいいって言ったり、付き合いたい女子·付き合いたくない女子のランキング作ったりしてさ……。
中学の時、私、何位にされたと思う?
《付き合いたくない女子》の1位だよ……。
そんな1位ちっとも嬉しくないのに、みんな笑って『おめでとう』って言うの。
その時好きだった人も同じクラスで、私の顔みて『ランキング入れてよかったじゃん』って笑ってた」
マジかよ……。
そいつ、殴りたい。
俺の春佳に何言ってやがんだ。
好きなヤツにそんなこと言われたら、ひとたまりもないよな……。
その話と藍に振られたあの頃の自分が、自然に重なる。