胸の音‐大好きな人へ‐

「何で圭が泣くの?」

「…………」

「圭?」

春佳はいつも通りの柔らかい口調で話しかけてくるけど、何も言えなかった。

なんで、こんな風になるまで気付けなかったんだろ。

カッコ悪いのはダメとか、スマートさが大事とか、カスじゃん。

1番大切なことを見落として、何が恋人同士だよ。

春佳を幸せにするどころか苦しめて、こんな風に整形に踏み出すくらい追い詰めて……。

春佳の言葉を額面通りに受け取ったら、中学時代の嫌な思い出や就活がうまくいかなかったことも整形した理由のひとつなんだろうけど、俺のせいだ。全部。

「彼氏失格だな……。距離置かれて当然だわ」

それしか言えない。

春佳は首を横に振り、首につけていたダイヤのネックレスを外す。

遠距離恋愛になっても大丈夫。二人の恋は永遠に続くと信じて、春佳に贈ったもの……。

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