胸の音‐大好きな人へ‐
「距離置いたのは私のワガママ。圭は悪くない。
ひどいこと言ってごめんね。
全部、私に比べて恵まれてる圭への八つ当たり」
春佳はそう言い、寂しげな顔でネックレスをこっちに差し出す。
胸がえぐられたように、鼓動が早くなった。
嫌な予感は的中。
「これ、返すよ」
「なんで!? 春佳にあげたんだ。春佳が持っててよ!」
怒ったような口調になる。
これを受け取れば、春佳との別れは避けられない。
本能が警告音を発してる。
「そうだけど、コレは意味のある贈り物なんだよね?
だったらやっぱり、私が持ってちゃダメ。
いつか圭が、一生一緒にいたいと思った相手に出会えた時に渡すべきだよ」
それって、別れるってことじゃん……。
春佳以外の女を好きになれって? ひどすぎる。
秒刻みで早くなる鼓動につられるように、渇きかけていた涙がまた溢れ出してきた。
「そんなこと言うな。
このネックレスは春佳のだろ……」