胸の音‐大好きな人へ‐
俺はかたくなにネックレスの受け取りを拒否する。
いつもは力を使わない春佳が、強引にそれを俺のパンツのポケットにねじこもうとする。
「なんでだよ……。
ただ距離置くだけじゃなかったの?
気持ち、完全に冷めちゃったわけ?」
「そうじゃないけど……。
これ持ってたら、別れても友達とか言って圭に甘えちゃいそうで……。そしたら圭の新しい恋邪魔しちゃう。だから返したいの。
お願いだから受け取って……!!」
「春佳にあげたんだって!
さっきから何回も言ってんじゃん!
ガンコだな!
そんなに嫌い? 俺のこと!!」
叫ぶと同時に、春佳の体を力いっぱい抱きしめた。
言葉じゃ何も通じない。
出来れば話し合いで解決したかったけど、バカな俺にはこんな方法しか思いつかない。
春佳は力一杯もがいて俺の腕から抜け出そうと抵抗するけど、離してなんかやらない。
寒空の下で凍えた体が、春佳の温度であたたまってゆく。