胸の音‐大好きな人へ‐

「ネックレス渡した時に俺が言ったこと、覚えてる?

それを間違わずに言えたら、別れてやるよ」

偉そうに上から目線でカケに出た。

別れる勇気なんて本当はないけど、春佳がそれを口にしてくれたら、お互いの間でさ迷っている赤い糸の先端同士がもう一回巡り会い、再び結ばれる気がするんだ――。

泣きすぎのせいでグスグス鼻を鳴らしつつも、春佳は素直に従う。

「圭が特別なプレゼントにネックレスを選んだ理由はね……。

ネックレスの飾りが、私の胸に近い位置にくるから。

飾り……ダイヤはいつも、胸のそばで光ってる。

晴れの日も雨の日も、

楽しい時もつらい時も、

私の心の声がダイヤに伝わって、私という存在を記憶する……」

「正解」

春佳の声は自然に柔らかくなっていて、正解と言った俺の心も穏やかな海原みたいに落ち着いていた。

将来、春佳と結婚することになったら、このネックレスにはめこまれた細かいダイヤの数々をひとつひとつ取り出して、2人の結婚指輪にはめるんだ。

離れ離れになっている間、俺の目が届かない場所で生まれた春佳の気持ちすべてを、結婚後も2人のそばに置いておきたい。

指輪やピアスじゃなく、迷わずネックレスを選んだのはそのため。

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