Vrai Amour ~美桜の場合~
そんな私にカフェテリアで大胆な申し出をしたのが彼

市川陸、19歳


カーキのモッズコートの中にストライプのカットソー

いい感じに色あせたジーンズ、コンバースのハイカット

髪は短く、少し立ててあって、すっきりした顔の中心に真面目そうな黒縁メガネがあった。



19歳かぁ・・・




うちの弟・恵と近いなぁ、なんて想いながら

黒縁メガネの奥の真剣な瞳を見つめていた。






「モデル?」


再び喧騒を取り戻したカフェテリアで食事を終えた私は、陸とちひろと並んでカフェオレを飲んだ。

陸は緊張しているのは一口も口をつけようとはせず、両手を強く握ったまま私を見つめていた。


「は、はい。僕、写真部に所属してるんですけど、どうしても桐島センパイを撮りたくて・・・他にもいっぱい申し込まれてるんじゃないかと思ったんですけど・・・」

実際、何人か先輩には申し込まれたことがある。

でも、それは本当にモデルになってもらいたいわけではなく、隙あらば・・・・という感じがしてどうしても受けることができなかった。

< 2 / 48 >

この作品をシェア

pagetop