Vrai Amour ~美桜の場合~
「そういえば、この間何かの新聞社の写真展で入賞したのって、もしかして陸?」
ちひろが身体を乗り出して聞いた。
「あ、そうです。あれは風景写真のほうなんですけどね」
「わ、すごい! その写真展すごく難しいって聞いたけど」
それを聞いて少しだけ興味を持った。
その真剣さもそうだったけど、細身の体に似合わない重そうなカメラケースを大事そうに抱えていたのが印象的だった。
「サンプルも持ってきたんです」
陸ははっとして、今度はリュックの中を漁りだす。
取り出されたファイルには大きめにプリントされたものがたくさん収められていた。
「人の写真はないんだね・・・」
横からちひろも覗いてくる。
私は一枚一枚ゆっくりとページをめくる。
陸が見せてくれた写真は、いろいろな印象を持った写真が多かった。
でも、人物を撮った写真は一枚も見当たらない。