しゃぼん玉
だがメイは、それ以上追求しなかった。
胸をしめつける苦しみと目の前のリクから逃げるように、
「そんなことより、行こ」
と、自宅を目指した。
リクは一筋こぼれた涙を袖口でサッと拭い、泣きそうになるのをこらえてメイの後ろを歩く。
メイの艶やかな髪を見て、幼い頃「どうしたら、お母さんは笑ってくれるかな?」と、涙ながらに話していたメイのことを思い出していた。
“メイ……。
俺達、小学生の時みたいに仲良くできないの?
俺の気持ちは、ずっとずっと昔から変わってないよ?
たしかにメイは辛い思いいっぱいしてるよな。
だからってなんで、俺の言動を全て、エッチ目的だなんて言うの?
元カレにヒドイ振られ方したの?
ううん……。俺が知る限り、メイはずっと彼氏とかいなかったはず……。
じゃあ、なんで……?
俺は、メイを笑わせてあげたいだけなのに……。
その無表情な顔に、
ほんの0.1秒でいいから、
笑顔をあげたい”
今日はやけに、夕焼けが眩しかった。