しゃぼん玉

――――そんな回想をしながら、メイは自宅に着いた。

リクと制服を取りに来たのだ。


瞳に溢れそうになった涙をなかったことにし、メイは無表情で玄関の鍵を開けた。

リクは、翔子がいないことに安心し、

「制服の他にも、いる物あるなら持ってこ」

「………………」


さきほどの言い合いを気にしていないフリで、リクは言った。

「当分、俺ん家にいていいから。

父さんと母さんにも許しもらえたしっ」

「なら、遠慮なくー」

メイは冷静に荷物をまとめはじめた。


リクはこの時、

自分の両親……正美と義弘の本音に、半分も気づいていなかった。


メイは、ショップの大きい紙袋に、制服、メイク道具、洋服を適当に詰め込み、立ち上がる。

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