しゃぼん玉
リクはその紙袋をひょいと持ち上げ、
「けっこう重いな」
と、立ち上がる。
メイは、リクが荷物を持ってくれたことにジリジリしながらも、何か言うのも面倒なのでそのままにした。
リクは最後に、
「忘れ物ない?」
「ない」
「じゃ、行こ」
二人が玄関を出ると、そこには一人の男が立っていた。
リクは声を張り上げ、
「あんた、あの時の!!」
「ああ、また君か」
それは、メイが翔子にヤケドを負わされた日に、勝手に穂積家に上がり込んで来た3~40代の男だった。
ただ、この間と違うのは、この男がスーツを着ているということ。
商社勤務のサラリーマンを思わせる、爽やかな着こなし。
この間は、お世辞にもオシャレとは言えない、部屋着以下の格好をして穂積家に上がり込んで来たというのに…………。
メイは、初めて見るその男に、
「翔子なら、いないよー」
と、母親の不在を告げる。