しゃぼん玉

リクはその紙袋をひょいと持ち上げ、

「けっこう重いな」

と、立ち上がる。

メイは、リクが荷物を持ってくれたことにジリジリしながらも、何か言うのも面倒なのでそのままにした。

リクは最後に、

「忘れ物ない?」

「ない」

「じゃ、行こ」


二人が玄関を出ると、そこには一人の男が立っていた。

リクは声を張り上げ、

「あんた、あの時の!!」

「ああ、また君か」


それは、メイが翔子にヤケドを負わされた日に、勝手に穂積家に上がり込んで来た3~40代の男だった。

ただ、この間と違うのは、この男がスーツを着ているということ。

商社勤務のサラリーマンを思わせる、爽やかな着こなし。

この間は、お世辞にもオシャレとは言えない、部屋着以下の格好をして穂積家に上がり込んで来たというのに…………。


メイは、初めて見るその男に、

「翔子なら、いないよー」

と、母親の不在を告げる。

< 142 / 866 >

この作品をシェア

pagetop