しゃぼん玉
二人は一旦穂積家に引き返し、宇都宮の話を聞いた。
宇都宮は翔子が虐待したという証拠を集め、法的にメイを助けるために穂積家に来たそうだ。
直接メイから話を聞きたかったらしい。
メイと付き合いが長いリクのことも、調べ上げているそうだ。
リクは宇都宮に対し、最初にあった警戒心を完全に無くした。
「おばさんがメイを虐待してること、なんで知ってるの?」
「今、翔子さんと付き合っている男性が、たまたま僕の知り合いでね。
その人に、メイちゃんのことを聞いて……」
メイは少し目を見開いて、
「ババアの彼氏が、私を心配してたの……?」
「そうだよ。
どうにかして君を助けてあげたいって」
メイは翔子の彼氏の顔を思い出す。
彼は自分に、セクハラで訴えたくなるほど卑猥(ひわい)な視線を向けてきた、というのは、メイの考え過ぎだったのだろうか…………。
メイの中に、モヤモヤした、でも、希望に近い明るい気持ちが広がる。