しゃぼん玉


二人は一旦穂積家に引き返し、宇都宮の話を聞いた。

宇都宮は翔子が虐待したという証拠を集め、法的にメイを助けるために穂積家に来たそうだ。

直接メイから話を聞きたかったらしい。

メイと付き合いが長いリクのことも、調べ上げているそうだ。


リクは宇都宮に対し、最初にあった警戒心を完全に無くした。

「おばさんがメイを虐待してること、なんで知ってるの?」

「今、翔子さんと付き合っている男性が、たまたま僕の知り合いでね。

その人に、メイちゃんのことを聞いて……」

メイは少し目を見開いて、

「ババアの彼氏が、私を心配してたの……?」

「そうだよ。

どうにかして君を助けてあげたいって」


メイは翔子の彼氏の顔を思い出す。

彼は自分に、セクハラで訴えたくなるほど卑猥(ひわい)な視線を向けてきた、というのは、メイの考え過ぎだったのだろうか…………。

メイの中に、モヤモヤした、でも、希望に近い明るい気持ちが広がる。

< 144 / 866 >

この作品をシェア

pagetop