しゃぼん玉

メイは、宇都宮がくれた名刺に視線を落としていた。

リクはそんなメイに少しヤキモチを焼きながらも、

「よかったな、メイ。

これでもう、おばさんの好きには出来ないはずだ。

宇都宮さんもおばさんと会ったことあるらしいけど、自分の職業隠してるって言ってたし。

弁護士だし、メイをあんなに心配してくれてるし、信用できそうな人だよな」

「……かもね」

メイはその名刺を丁寧な手つきでサイフにしまう。

するとその時、本日二度目の来客がやって来た。


「ミズキさん!

マナさんも……」

この間知り合ったばかりの大学生二人を前に、リクは声を裏返した。

「どうしたんすか?

こんなとこまで。


……あ! メイに会いに来たんすか?」

ミズキとマナは静かにうなずき、

「穂積さんに会いに来たの」


メイは、初めて見るマナの姿に少し驚き、リョウの姉·ミズキの訪問に驚愕(きょうがく)した。

リクもこの時、何を言ったらいいのか分からず、言葉が出てこなかった。

< 146 / 866 >

この作品をシェア

pagetop