しゃぼん玉
メイは、宇都宮がくれた名刺に視線を落としていた。
リクはそんなメイに少しヤキモチを焼きながらも、
「よかったな、メイ。
これでもう、おばさんの好きには出来ないはずだ。
宇都宮さんもおばさんと会ったことあるらしいけど、自分の職業隠してるって言ってたし。
弁護士だし、メイをあんなに心配してくれてるし、信用できそうな人だよな」
「……かもね」
メイはその名刺を丁寧な手つきでサイフにしまう。
するとその時、本日二度目の来客がやって来た。
「ミズキさん!
マナさんも……」
この間知り合ったばかりの大学生二人を前に、リクは声を裏返した。
「どうしたんすか?
こんなとこまで。
……あ! メイに会いに来たんすか?」
ミズキとマナは静かにうなずき、
「穂積さんに会いに来たの」
メイは、初めて見るマナの姿に少し驚き、リョウの姉·ミズキの訪問に驚愕(きょうがく)した。
リクもこの時、何を言ったらいいのか分からず、言葉が出てこなかった。