しゃぼん玉


四人は、穂積家から近いファーストフード店にやってきた。

ミズキとマナで、リクとメイの分の飲み物を購入し、四人は席につく。


店がすいていたおかげで周りの雑音も少なく、ミズキは集中して話をすることが出来た。

この間リクに聞いたメイの母親の虐待のことと、

そんなメイを心配しているという気持ち、

そして、リョウに謝ってほしいという本音を伝える。

リクとマナは真剣な顔でミズキの話を聞いていたが、ただ一人、メイだけは退屈そうに飲み物をすすり、

「余計なこと言わないでよ」

と、トゲトゲした口調でリクに言った。

メイは、虐待されていることを人に話す気はない。

同情されたくないし、みじめになるだけだから。

リクは眉を下げ、

「勝手に話したことは、ほんとにごめん……。

でも、メイのこと心配だったから……」

メイは黙ったまま、飲み物に刺さったストローの先を見つめている。

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