しゃぼん玉

いまリクの目の前にいるメイは、無表情でもくもくとてりやきバーガーを口にしているけれど、昔、リクの家でこれを食べさせてもらっていた時のメイは、本当に嬉しそうに食べていたものだ。

中学時代に疎遠になって以来、リクとメイの間には見えない壁が出来てしまったけれど。

メイは、変わってしまったけど……。

彼女の本質までは変わっていないはず、と、リクは思っていた。

さきほどメイが、ナナセの金をミズキに返したことも、なんだか嬉しかった。

たとえメイが、昔のようにまっさらな清い心を取り戻せないのだとしても、リクはメイのそばにいたいと思っている。


メイはリクのそんな想いに気づくことなく、無言でもくもくと食べていた。

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