しゃぼん玉

でも、リョウのことが絡んでいる以上、菜月にメイの話はできない。

しばらく考えた後、ミズキは言った。

「お母さんは、お父さんが単身赴任してると寂しくない?」

「えっ?」

予想外だったミズキの質問に、菜月は驚いている。

「時々お父さんのアパートに行ってるとはいえ、毎日顔見れないし……。

だから、寂しくないのかなって」

「寂しくないわよ。

ミズキがいてくれるから」

菜月は柔らかく笑って、ミズキの頭をなでた。

大学生にもなって母親に頭をなでられるのは、若干気恥ずかしいものがある。

「私、もう子供じゃないよ?」

笑いながら返してみた。

「なに言ってるの。

ミズキはまだ未成年じゃない。

それに、いくつになっても、ミズキは私とお父さんの子供なんだから」

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