しゃぼん玉
「みんな、最初は子供だったのよ。
お父さんもお母さんも。
最初から一人で何でも出来たわけじゃない。
周りの人達が育ててくれたおかげで大人になることができたんだから、ミズキとリョウにも、同じようにしただけ。
時に辛い時も、そう思って乗り越えられたのはお父さんがいてくれたおかげだと思ってる。
もちろん、ミズキとリョウの成長が嬉しくて、子育てにやり甲斐があったっていうのも本当だけどね」
菜月はそういい目線を下げる。
「子育ては、夫婦、二人三脚でやっていくものだから。
どちらかが育児に協力的じゃない家庭だと、虐待とか育児放棄といった悪循環が起きてしまうこともあるわね。
必ずそうなるとは言えないけど。
……ミズキが保育園に通ってた時、そういう環境に身を置いている親子がいたわ」
ミズキが4歳、
リョウが3歳の時、
菜月には、あるママ友がいた。
そのママ友夫婦は望んで子供を授かったのだが、結婚後数年して夫が不倫をし、夫はそのまま不倫相手の女性の元に行ってしまい、二度と妻の元に戻ってくることはなかった。