しゃぼん玉
“人の心の傷を理解し共有するということは、口で言うほど簡単じゃないんだね……。
穂積さんと同じ体験をしていない私なんかが、穂積さんにできることなんて、何もないよね……”
秋の夜風が、切なく香る。
もうそこには、夏の名残はなかった。
“リョウは、穂積さんに何を言われていたの?
どういうイジメを受けていたの?
穂積さんは、クラスでどんな子だったの?”
リクの言葉と、リョウの遺書。
穂積メイに関する情報はまとまりがなく、細い糸のように絡まり合ってしまう。
穂積メイの本質が見えにくい。
ミズキはそれがもどかしかった。