しゃぼん玉

“人の心の傷を理解し共有するということは、口で言うほど簡単じゃないんだね……。

穂積さんと同じ体験をしていない私なんかが、穂積さんにできることなんて、何もないよね……”


秋の夜風が、切なく香る。

もうそこには、夏の名残はなかった。


“リョウは、穂積さんに何を言われていたの?

どういうイジメを受けていたの?

穂積さんは、クラスでどんな子だったの?”


リクの言葉と、リョウの遺書。

穂積メイに関する情報はまとまりがなく、細い糸のように絡まり合ってしまう。

穂積メイの本質が見えにくい。

ミズキはそれがもどかしかった。

< 172 / 866 >

この作品をシェア

pagetop