しゃぼん玉
正美と義弘がこんな雰囲気を放つ時は、必ず、リクにとって都合が悪い話をする時だと決まっている。
義弘は厳格な表情を崩すことなく、
「そろそろメイちゃんを自宅に帰しなさい。
それが駄目なら、施設に行ってもらいなさい」
「そんなっ! メイは幼なじみじゃん……。
見捨てるっていうの!?」
「そうじゃないわよ」
正美が口を挟んだ。
「最近、近所で噂になってるのよ。
ウチでメイちゃんを預かっていることが……」
「人が何て言ったって関係ないじゃん。
別に、俺達はやましいことしてるわけじゃないんだし。
近所の人のことなんて、気にすることないじゃん!」
正美は困ったように眉を下げた。
松本家でメイを預かり始めて、もうすぐ二ヶ月目になる。