しゃぼん玉
その頃リクは、トボトボと帰路についていた。
夜9時。
夜ご飯も食べず、ずっとメイを探し回っていた。
繁華街だけではなくメイの自宅にも行ってみたが、メイはどこにもいなかった。
母·正美とケンカをしたまま飛び出してきたというのもあって、2時間前から着信の嵐がやまない。
相手は全て自宅の電話。
正美がリクを心配してかけてきているのだろう。
だがリクは、自宅からの電話を無視していた。
正美への反抗心もあったし、それ以上にメイが心配だという気持ちの方が強い。
“金は持ってないはずだし、どこにいるんだろ……。
俺の小遣いで、メイにケータイ買ってあげよっかな。
ケータイないと何かと不便だろうし……。
でも、メイはそういうの嫌がるだろうな……。
あー、どうしたらいんだ……。
メイ、腹すかせてないといいけど……”
仕方なく自宅へ戻ろうとすると、何者かに声をかけられた。