しゃぼん玉

リクが自宅に帰ると、心配していた正美が玄関まで走ってきた。

正美も義弘も、ご飯を食べずリクが帰宅するのを待っていたらしい。

リクはぶっきらぼうに帰宅の挨拶をし、食卓に向かった。


正美は料理好きなため、毎日凝った料理を作っている。

結婚する前まで、料理教室にも通っていたらしい。

リクが食卓についたのをきっかけに、正美と義弘も席につき、もくもくと料理を食べる。


リクは非の打ち所がない母の料理を口にしながら、

「俺、メイのこと好きだから。

父さんと母さんに反対されても、この気持ちやめるつもりないから」

「そう……」

正美は、リクが無事に帰宅した喜びで、それ以上言葉を吐けなかった。

義弘も“今は何を言っても無駄だな”と言いたげな表情で、

「好きにしろ。

お前が苦労するだけだがな」

とだけ、言った。

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