しゃぼん玉
大学の正門前でナナセと別れたミズキは、一限目の授業がある大教室へ向かった。
マナと、マナの彼氏の橘シュン(たちばな·しゅん)も、この授業を取っている。
教室に入ってザッと席を見回すが、マナとシュンはまだ来ていないようだ。
7月後半から9月末まであった夏休みが明けた今の時期、学生達の間には倦怠感のようなものが漂っている。
ミズキも、マナや他の友達と行った海水浴旅行のことを思い出し、夏休みがもっとあったらいいのにと思っていると、
「ミズキちゃん、おはよっ」
「ミズキ早いな」
マナとシュンがやってきた。
二人はミズキの横に座る。
マナは、童顔で華奢でボーイッシュな性格で、愛らしい顔のつくりをした女の子。
ミズキが心を許している大切な親友だ。
マナは大学生活の傍(かたわ)ら、少林寺拳法の稽古とピアノのレッスンを両立している。
マナは高三の冬にいろいろあって、一時期、心機一転するためにエクステで髪を長くしていたが、大学入学を前にして、以前のショートボブに戻していた。
そんなマナ。
男子にはクールで気難しい態度を取ることがあるが、女子に対してはめっぽう甘い、という性格だ。