しゃぼん玉
一限目の授業を終えたミズキは、マナ、シュンと共に、二限目の授業が行われる教室に移動していた。
「ミズキちゃん、どうしたの?」
マナが心配そうにミズキの顔を覗き込む。
ミズキは「なんでもない」と笑顔を作って対応したが、シュンもミズキの異変に気づいたらしく、
「何があったか知らないけど一人で悩むなよ」
と、心配している。
マナはシュンに同調するように、
「ミズキちゃん、さっきからボンヤリしてるし、心配だよ……。
一人で抱え込んじゃダメだからね」
マナは爽やかに笑った。
『一人で抱え込んじゃダメ』
これは以前、ミズキが悩んでいたマナによく言っていた言葉だ。
弟のリョウのように、一人で苦しみ、自らの意思で死を選んでほしくなかったから……。
ミズキは二人の優しさに感謝した。