しゃぼん玉


メイはミズキにもらった金で、一人、ラブホテルに宿泊していた。


普通は男女のカップルで来る場所なのかもしれないが、メイにとってそんなことはどうでもよかった。

とりあえず、安く泊まれて風呂に入れ、一人で安心して眠れる場所が欲しいだけ――。


ラブホテルには、洗濯機や乾燥機までついていることもある。

帰宅できないメイにとって、これ以上良い場所はない。


金がない日は、マンガ喫茶やネットカフェといった24時間営業している店の個室で夜を明かす。

あるいは、クラスの友達の家。


メイは、県内でもっとも偏差値が低いと言われるS高に通っているのだが、それすらサボりがち。


一応学校には“友達”という存在がいるが、友達というには何か足りない。

というより、《友達》なんて、生まれてこのかた出来たことがない。

相手はどう思っているのか知らないが、少なくともメイはそんな存在を持った覚えはない。

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