しゃぼん玉
どっぷりと日も落ち、真っ暗な街道。
三人の足音が、闇に溶けていく。
その道中、アイリは彼氏·マサヤの話をした。
「友達に彼氏のこと話すとね、すごい最低な男!って言われるの。
たしかに彼氏は無神経だし、私もしょっちゅう嫌なこと言われる。
でも、私は彼氏のこと好きなんだ……」
ミズキが真ん中を歩き、その右隣にアイリ、左隣にナナセがいる。
二人はアイリの話を聞いた。
「付き合ったばかりの時の話なんだけど、彼氏とスーパーに買い出しに行った時にね……。
あ、彼氏んちは親が仕事で留守がちだから、私がよく料理作りに行ったりしてるんだけど。
そのスーパーで、小さな男の子がわんわん泣いてて。
幼稚園児か小学校低学年くらいの子だったんだけど、その子、お母さんに欲しいお菓子を買ってもらえなくて泣いてたんだ。
その時彼氏は、その子に直接欲しいもの聞き出して、それをたくさん買ってあげてたの……。
『うるせーからビービー泣くな!』って言って。
口調は乱暴だったけど、その時、優しい人だなぁって思ったんだ。
……だからかな。
私、彼氏のワガママなら、たいてい何でも聞いちゃうの」