しゃぼん玉

誰もが、段階を踏んで今の自分にたどりついている。

“気がついたらこんな自分になっていた”

“好きでこんな生活を送っているわけじゃない”

“まっすぐに親の愛を求めていた時もあった”

メイも表面的にはそう思っているのに、最近ではもう、その時のことを全く思い出せなくなっていた。


いくつかの絶望にぶちあたり、傷つき、裏切られ……。

そんな人生を送るうちに、メイは期待するのをやめたのだ。


期待や理想、前向きな願いといったプラスの感情は、人を奮い立たせる明るい光に満ちている。

だが、それは同時に、絶望を深くする。

願望が叶わなかった時の衝撃を大きくするのも“プラスの力”だ。


メイは好き好んで無気力人間になったわけではない。

< 372 / 866 >

この作品をシェア

pagetop