しゃぼん玉
清に巻かれたマフラーを身につけたまま、メイは清がハンバーグを盛り付けている様を見る。
ハンバーグの匂いと湯気が立ち上ることで、ここにある優しい雰囲気が、更にあたたまった気がした。
メイは自分の心の内全てが、全身に行き渡るのを感じていた。
ハンバーグを盛り付けフライパンをシンクに置いた瞬間、清は激しくセキをした。
今の今まで元気そうに動いていたのに、胃を押さえ、苦しそうにうずくまる。
「…………」
こういう場合、どう声をかけたらいいのか。
どんな対応をするべきなのか。
メイは戸惑ったが、そんな心配はなかった。
清はすぐに落ち着きを取り戻し、
「最近、空気が乾燥してるからね。
セキが出やすいんだよ」
「ただいまぁー」
「あ、メグルが帰ってきたよ」
清は普段と変わらぬ明るい口調で、孫の帰宅に反応する。
メグルは玄関でメイの靴を見つけるなり、メイが無事に帰ってきたことに安心し、ドタドタと騒がしい足音でキッチンへと訪れた。