しゃぼん玉
「ただいま。
お父さん、帰ってるの?」
「ミズキ!!」
ミズキが玄関に入った途端、大成は血相を変えてミズキを出迎えた。
大成が手にしているノートを見て、ミズキは血の気が引いた。
リョウの最期の言葉が残されている、国語のノート……!
「母さんは、これをミズキの部屋で見つけたそうだ。
ミズキ、これはどういうことだい?」
「それは……」
ミズキは昨日、寝る前にこのノートをベッドで見ていた。
寝る直前、枕の下に挟んでおいたままだったことを思い出す。
「今日母さんはパートが休みだったから、みんなの部屋のシーツを洗おうとしてたところで、これを見つけたって言ってた。
ミズキは、いつこれを見つけたんだ?
これは、リョウが書いた物だよな?」
ミズキは、否定も肯定も出来なかった。
泣いた後だとわかるほど目元を赤く腫らしている父親に、何と言えばいいのか。
菜月は綺麗好きだから、マメにみんなの部屋のシーツを洗っているということは知っていたのに……。
ミズキは自分の不注意を嘆(なげ)いたが、もう遅かった。