しゃぼん玉
メグルは、公園でのリクとメイの会話をほとんど聞いていた。
メイの家庭の事情を深く知り、メグルは衝撃を受けていたし、メイとリクが長年抱えていたものを知って心が震えた。
今もその動揺は消えない。
でも、だからこそ、自分がしっかりして、リクとメイをなんとか前に向かせなくてはいけないと思った。
“このまま「死ぬのが幸せ」と思っているだなんて、良くないよ!
悲しいよ、そんなの……”
まだぼんやりする頭でも、リクはメイとメグルを滝川家まで送っていくことにした。
メイも、おとなしくメグルの後ろについていく。
さきほど感情を爆発させた反動で、今はもう何も考えられなかったのだ。
三人の足音が、ひたひたと響く夜の中。
メグルは、自分の両親の遺影を思い出し、二人に話した。
「私の親ね、私が生まれてすぐに、交通事故で死んだの。
だから、どんな人だったかすら覚えてないし、顔も写真でしか見たことがないんだ。
生まれたばかりの時に親の顔見てたんだろうけど、覚えてるわけないしね」
語尾に笑い声を含ませるメグル。
そこには、とても切ない雰囲気が漂った。