しゃぼん玉
ナナセは首を小さく振り、
「ミズキちゃんの部屋だし、気にしないで」
そう言ってまた、夜空を彩る月を見上げた。
ミズキはその隣に、そっと寄り添う。
彼女の柔らかい体温が肩越しに触れて、ナナセの胸は高鳴った。
「さっきまで大雨だったのにね。
もう、晴れてきてるみたい」
夕食時に突然降り出してきた、窓ガラスを激しい音で鳴らした雨の様子を思い出して、ミズキはつぶやく。
ナナセは少し間をおいた後、
「星も、ちょっとだけ見えるね」
「うん。綺麗」
“まるで、ミズキちゃんの心みたいに、キラキラしてる”
そう思ったが、口にはできず、顔が真っ赤になってしまうナナセであった。
ミズキはしばらくナナセと月を眺めると、
「お風呂、ナナセ君先に入っていいよ」
「あっ、俺は後でいいよっ!」
いま心に生まれた恥ずかしいセリフをごまかそうとしたせいか、ナナセの声は裏返ってしまう。