しゃぼん玉
ミズキはそんなナナセを見て、ふんわり笑い、部屋のクローゼットからブランケットを取り出すと、ナナセに渡す。
「じゃあ、先に入ってくるね。
なるべく早く出るから。
待ってる間、寒かったら、これ使ってね」
エアコンをつけていても、今夜は寒かった。
ミズキの雰囲気や口調のように柔らかい、ブランケット。
ナナセがそれをファサッと広げると、わずかに日だまりの匂いがした。
部屋を出ようとしているミズキ。
ナナセは両手でブランケットを広げると、そのままミズキの体を包み込むように、背後から彼女を抱きしめた。
ナナセから、初めての抱擁(ほうよう)。
思いもよらなかったシチュエーション。
ミズキはこんな展開を、全く予想していなかった。
奥手なナナセから抱きしめられることは、もっとずっと先のことだと思っていたから。
そのせいなのか、ミズキの頬は真っ赤になってしまい、心臓の音も激しかった。
「ナナセ君……?」
ナナセの顔が見えないこの体勢は、鼓動を早まらせるばかり。
ナナセはどんな表情をしているのだろう。