黒猫独語
 婆さん、俺に向かって

「かわいそうに」
 
 つぶやいて、俺は持ち上げられた。
 久しぶりの人の温もり。あったかいわ。その婆さんの腕の中でされるがままでいたら、いつの間にか家の中にいた。
 
 それから、飯(メシ)くれるわ、こっちがもうやめてってぐらい頭撫(な)でたり首の下も触ってくれるし。
 
 かいがいしく、俺にとって良い環境つくってくれる。ええ人。ほんまに、ええ人や。
 俺はこの婆さんが好きになった。
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