私が死んだ後の話




とても真面目で優しい彼との関係は、物凄く曖昧だっのを私は鮮明に覚えている。


私が彼に好きと言えば照れ隠しにも似た笑顔が返ってくるのも、私が泣いていると彼の表情が歪むのも私はわかっていた。


だけど彼は私に触れるのを恐れた。同じように、私は彼との関係を深まる事に嫌悪感があった。


恋愛感情、と片付けるにはとても安易で、家族感情、と思うにはどこか違和感があった。


…彼は、いつも傍にいて、私を慰めた。


死、という言葉に敏感で私の身体から血がでていると姿を消した。


名前も知らない、何者なのかも知らない。
…ただ、彼は特別な人なんだと




< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop