△~triangle~
『……そっか。お父さんが再婚するんだ』
その彼の呟きにコクンと頷くと、彼は何か考える様に遠くを見つめ……それから笑った。
『お父さんがお母さんの事忘れちゃうような気がして……悲しくなっちゃったんだね』
その彼の問いにも小さく頷いて答えると、彼はそっと私の前に跪き、俯く私の顔を見上げた。
『でもそれは仕方がない事かもしれない。人の心は移ろい易く、そして脆い。それは君のお父さんだけじゃない。僕も……そして君もだ』
その彼の言葉の意味が理解出来ず首を傾げて見せると、彼は悲しそうに笑ってまたポンポンと私の頭を撫でた。