△~triangle~

「君がどうしてあんな事故に遭ったのか……君は知らないでしょ」

「やめろ!!」

「君を轢いたあの車、本当は……」

蓮がそこまで言った……その時だった。

ガッと鈍い打音と共に、蓮が床に倒れ込んだ。

「……ッ」

今にも悲鳴の漏れそうだった口を押さえたまま、床に倒れた蓮を見つめる。

「いてて……明に殴られるなんて、初めてだね」

そう言って蓮は殴られた頬を押さえながらクスクスと笑うと、拳を握り締めたままの明を見上げた。

「蓮、俺はお前に感謝してる。俺に本当の世界を教えてくれたのは……俺に自由を教えてくれたのはお前だった。だから感謝してる。……本当に」

明はそう言って悲しそうに笑うと、それから静かに目を閉じる。
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