△~triangle~

「君は僕の大切なモノを奪って行く。それが君のせいじゃないって分かってるよ。君は何も知らない。君は何も悪く無い。全部、全部分かってる」

強く、強く彼女の腕を握り締めたまま、言葉を放ち続ける。

「醜い嫉妬だと自分でも分かってる。でも……消せないんだよ!君を憎いと思う気持ちが!!僕の望むモノを手にしている君が!!それを必要としない君が!!……僕は憎くて仕方がない!!」

……いつの間にか声を荒げていた。

彼女に向かって叫ぶ憎悪の籠ったその言葉に、ノラは何も答えない。

ただ茫然とその場に立ち尽くし、カタカタと体を震わせている。

「どうして君なの!?どうして君なんだよ!!どうして……どうして!!」

その言葉を繰り返しながら、ノラの肩を揺さぶった。

ノラはボロボロと涙を零したまま、ただ叫び続ける僕を見つめている。
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