△~triangle~
33 静かな夜に重なる温もり(明)
『……お前のせいなんだぞ』
そんな残酷な言葉が俺の口から洩れ、それはシンと静まり返った薄暗い部屋に悲しく響いた。
憎悪の籠った瞳を向ける俺を、蓮は真っ直ぐに見つめたまま、決して視線を逸らさない。
『お前のせいで、母さんは死んだんだ。お前さえこの家に来なければ……こんな事にはならなかったのに』
爪が食い込む程に強く拳を握り締め、震える声で言葉を放ち続ける。
それを蓮は何も言わないまま、ただ静かに聞いていた。
……まるで俺の全ての言葉を受け入れるかのように。
否定も肯定もしない蓮の姿に、どうしようもない苛立ちが募る。
それと共に彼の黒い瞳が切なく揺らいでいるのが分かり……どうしようもなく苦しくなった。
……しかし、湧き出る黒い心が抑えられない。