ケンカ+理解×大好き=友情

これなら、日中バイトがあるミサキでも働けるし、日払いという条件も満たしている。

この店の店長さんはいい人で、とにかくお金が欲しいと言う私とミサキのことを理解してくれ、

一日体験で終わりにせず、一週間働いていってもいいよと言ってくれた。


この店のお客さんには富裕層の男性が多いからか、女の子との会話で癒しを求める男性客ばかりなので、常連客にもセクハラまがいなことをするいやらしい人は少ない。

でも、他のキャバクラでは、キャバ嬢を抱きしめたり胸を触ってくる下品な客が多いそうだ。

そういう世界のことはよく分からないけど、店長からそんな話を聞いて少しこわくなった。

一日体験&偵察目当てで他の店に行ったこの店専属のキャバ嬢が、そういった最悪な客に出くわし、泣きながら帰ってきたこともあるって。


キャバクラは、あくまで酒を飲んだり歌ったりして、男性が女の子との会話を楽しむ場。

でも、中にはそうは思わない男性もいるようだ。

店長は、私とミサキが変な客の多い店に行って傷つくのが耐えられないとまで言ってくれた。


店長の優しさに感動しつつも、働くことの大変さを知った。

これが初バイトだった私にとって、この短くて長いような一週間のうちに見た色んなことは、目まぐるしいほど強烈で眩しかった。

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