ケンカ+理解×大好き=友情

私たちは未成年だから22時以降は働かせてもらえなかったけど、この一週間でけっこうな金額を稼ぐことができた。


私とミサキが臨時キャバ嬢でいたこの一週間、

バイト終了の時間になると必ず、あっちゃんは店の出入口まで迎えに来てくれた。

「迎えなんていらないのに」と言う私たちに、あっちゃんは真面目な声で、

「2人とも俺のためにそこまでしてくれて、ありがとう。

2人のためにできることは目一杯やりたいんだ。

夜道を女の子2人で歩かせらんないし」


あっちゃんは、私たちがバイトに入った初日、お客さんとして店に来たことがある。

その時は、ミサキが店長に事情を話し、あっちゃんを店から追い出した。

「あっちゃん、知ってる? キャバ来たら金払わなきゃいけないんだよ?」

呆れて注意するミサキに、あっちゃんはしょんぼりした顔でこう言ってた。

「みいちゃんとなっちゃんのことが気になって……」


キャバ嬢と話すお客さんは、1時間ごとにいくらかのお金を払わなきゃならない。

「あの子と話したい」と特定の子を指名をすると、料金は更に上乗せされてしまう。

あっちゃんは、そういうことを全く知らなかったらしい。


「そんなことも知らないで来たの?

もう、絶対来ちゃダメだよ!?」

あっちゃんにそう言うミサキの横顔がなんだか嬉しそうだったのは、私の気のせいじゃないと思う。

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