ケンカ+理解×大好き=友情

知らない番号から電話がきたのは、それから数日後のこと。


9月になり1週間が過ぎた。

あっちゃんが働く居酒屋に押しかけて以来、

私とミサキはあっちゃんのことが心配で、様子見も兼ねて、昼間あっちゃんが働いているコンビニにちょくちょく遊びに行っていた。


あっちゃんに案内され、特別に店の休憩室の中に入れてもらい、あっちゃんがヒマな時は監視カメラの映像を眺めたり、何でもない話で盛り上がっていた。

本当は部外者がこうやって休憩室に入るのはダメらしいんだけど、ここの店長さんはその辺に目くじら立てないタイプというか……ゆるいらしい。


一人でいると、ユナちゃんとの先を悪い風にしか考えられなくなるあっちゃんも、私たちといることでずいぶん気を紛らわすことができるみたいだ。

そんなことくらいしかしてあげられないけど、あっちゃんの助けになれるのなら……と、私とミサキはあっちゃんのコンビニに通い続けた。

昼間に夏バイトを入れているミサキは、時々遅れてやってくる時もあったけど。


知らない電話番号から私のケータイに連絡があったのは、ミサキがバイトでいない日のことだった。


「業者さん来たから、なっちゃんはここにいてね」

コンビニには毎日、飲み物やパンを運ぶトラックがやってくる。

あっちゃんにそう言われ、いつものように関係者風情で店の休憩室に入ると、けたたましい音でバッグの中のケータイが鳴った。

やばいっ。今、あっちゃんがカウンターで業者さんと話してるのに! 私がいることがバレたらまずいっ。

休憩室はカウンターの真横にある。

一応スライド式の扉があるけど、それは頼りなく薄い。


「はいっ……」

着信音を止めるため、私は小声で電話に出た。

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