ケンカ+理解×大好き=友情

業者さんに気付かれないよう、小さな声で「もしもし?」と繰り返し話しかけたが、向こうからは何の反応もない。

「あの! 誰ですか?」

しびれを切らした私は、少し苛立ったように語気を強めた。

これで何も言ってこないようなら、即切ってやる!


こっちのもどかしさが伝わったのか、数秒後、おとなしそうな女の子の声が聞こえてきた。

『あの……。ナルミさんですか?』

「そうだけど……」

『ユナです。アマネから、聞いてませんか?』

私に恐れを抱いてるのか、向こうにいる子はこちらの機嫌をうかがうようにビクついた口調のままだ。

って、え!? ユナって、あのユナちゃん!?

距離を置いてるという、あっちゃんの彼女……!


予想外の出来事に動揺し、頭の中が、沸騰(ふっとう)したお湯のように熱くなる。

何を言えばいいんだろう……。落ち着け私!


「ユナちゃん!?

あっちゃんから、だいたい話は聞いてる。

何で私のケータイ知ってるの?」

『アマネのケータイからナルミさんのメモリを見つけて……。

それを赤外線で私のケータイに移しました』

「そ、そう……」

納得するとこじゃないだろ!

他に言うことあるだろ!

私、完全にテンパってる。


あああ~、マジか!

彼氏のケータイのメモリ見て中身を移すだけでもすごいのに、その相手に電話までかけてくるとは!!

あっちゃんはそのこと知ってんのかな?


突然かかってきたユナちゃんからの電話に、私は動揺し、混乱した。


なぜ。なぜ。

なぜ私に電話してきた!?

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