ケンカ+理解×大好き=友情
あっちゃんはまだ業者の人と話してる。
休憩室の扉にある小さな窓はマジックミラーになっていて、こちらからはカウンターの様子が見えるけど、カウンターから休憩室の中は見えないようになっている。
あっちゃんはボールペンを取り出し、業者さんに渡された伝票にサインをしてる。
もうしばらくあっちゃんが戻らないことを願い、ユナちゃんに尋ねた。
「どうして私に電話してきたの?」
あっちゃんは、私とミサキの他にも女友達がいると言ってた。
高校の時も、学年やクラスの違う女友達が数人いたらしい。
私はその中の一人にすぎないはずだ。
しばらく黙ったままだったユナちゃんは、泣きそうな声で切り出した。
『アマネが言ってたんです。
友達の中で一番信用できるのはナルミさんだって』
ユナちゃんは、あっちゃんと仲の良い私にヤキモチを焼いてるのかもしれないと悪い予感もしたけど、それは違った。
ユナちゃんも、女の子としか友達になれないあっちゃんの性格をよく分かってるみたい。
「あっちゃん、私のことそんな風に言ってたんだ。意外だな」
照れ隠しに思ったことを口にする。
『意外じゃないですよ。今電話で話してみて、アマネがそう言った理由が分かりました。
……そんなナルミさんだから、もしかしたら私のお願いも聞いてくれるかもしれないって思って……。電話しました。
いきなりこんなこと言って、ごめんなさい』