ケンカ+理解×大好き=友情
先に待ち合わせ場所に来た私は、大学の敷地を囲む分厚い外壁にもたれてユナちゃんを待った。
遠くの空で描かれたオレンジとパープルのグラデーション。
いつもは綺麗だと感じるのに、今は目にするだけでいっそう不安をかきたてられる。
景色は何も悪くないのに。
色恋経験のない私には、あっちゃんが体験するのかもしれない失恋の痛みを想像できない。
ただ、恋人関係は友情や家族と同じ、人間関係の上に成り立つものだと考えてみると、あっちゃんが受けるだろうつらさはわかる気がした。
私の場合、仲良くしてる友達がいきなりいなくなったらかなりつらい。
もしもミサキに「もうナルミとは会いたくない」って言われたら、半年以上は落ち込むだろう。
この前ケンカみたいになった時もけっこうきつかったし……。
あっちゃんにとってユナちゃんがどんな存在なのか、私はそれなりに分かっているつもりだ。
きっと、ミサキだってそう……。
太陽の半分以上がビルの向こうに隠れてしまった。
ユナちゃんとの電話を終えてから1時間と30分……。
薄暗い学内の建物を見るともなしに見て、空振り感を覚える。
やっぱりやり過ぎたかな。
ユナちゃんは、来ないかもしれない。
それでも、ギリギリまで待とう……!