ケンカ+理解×大好き=友情

先に待ち合わせ場所に来た私は、大学の敷地を囲む分厚い外壁にもたれてユナちゃんを待った。


遠くの空で描かれたオレンジとパープルのグラデーション。

いつもは綺麗だと感じるのに、今は目にするだけでいっそう不安をかきたてられる。

景色は何も悪くないのに。


色恋経験のない私には、あっちゃんが体験するのかもしれない失恋の痛みを想像できない。

ただ、恋人関係は友情や家族と同じ、人間関係の上に成り立つものだと考えてみると、あっちゃんが受けるだろうつらさはわかる気がした。

私の場合、仲良くしてる友達がいきなりいなくなったらかなりつらい。

もしもミサキに「もうナルミとは会いたくない」って言われたら、半年以上は落ち込むだろう。

この前ケンカみたいになった時もけっこうきつかったし……。


あっちゃんにとってユナちゃんがどんな存在なのか、私はそれなりに分かっているつもりだ。

きっと、ミサキだってそう……。



太陽の半分以上がビルの向こうに隠れてしまった。

ユナちゃんとの電話を終えてから1時間と30分……。

薄暗い学内の建物を見るともなしに見て、空振り感を覚える。

やっぱりやり過ぎたかな。

ユナちゃんは、来ないかもしれない。

それでも、ギリギリまで待とう……!

< 87 / 116 >

この作品をシェア

pagetop