ケンカ+理解×大好き=友情
「さすがに来ないかぁ……」
ここへ来て何時間経ったんだろう。
ケータイで時間を見るのもやめたから、時間すら分からない。
車の通る量や空の暗さからして、20時頃かな。
お腹すいたし、ここから反対方向にあるコンビニでから揚げでも買ってこよっかな。
ずっとうつむかせていた顔を上げると、5メートルほど離れたところに、見知らぬ女子学生が立っていた。
ううん、この子の顔、最近どこかで見たことあるような気がする……。でも、誰だったのか思い出すことができない。
走って来たのか、小鹿のように華奢な彼女の肩は上下に揺れている。
「ナルミさん……。遅くなってごめんなさい」
可憐な花のように癒し効果がありそうな彼女の柔らかい声。
大和撫子を絵にしたようなその子が、さっき電話で呼び出したユナちゃんだった――。