ケンカ+理解×大好き=友情
「マナツ……! アマネ……」
ユナちゃんは気まずそうに目をしばたかせる。
ミサキはマナツの腕を解放すると、ユナちゃんの目の前までツカツカと歩いていき、小動物的雰囲気をかもしだす彼女の頬を思い切りひっぱたいた。
その場の全員がドキリとするような、すさまじい音が鳴る。
ユナちゃんはミサキに叩かれた頬を片手で強く押さえ、歯をくいしばり、あっちゃんの顔を見て助けてほしいと目で訴えたが、あっちゃんはマナツの腕をつかみその場を動こうとはしなかった。
ミサキはそれを見てざまあみろと言いたげに鼻で笑い、言った。
「今まではその目であっちゃんを騙せたかもしんないけど、もう引っかからないから。
……ホントのことぜーんぶ、あの男が吐いたよ!
バイトの休憩中にケータイ見たら、あっちゃんからメールがきてた。ナルミが急に出て行ったって……。嫌な予感がしたんだよね。バイト早退してきたっての。
あっちゃんがバイト終わるの待って、それから私たちでマナツに会いに行ったんだ。
あっちゃんね、お金渡す時マナツんちに行ったらしいから、楽勝だった。マナツを探し回る手間は省けたよ。
マナツと話そうとしたら、なぜかあっちゃんと距離置いてるはずのアンタがマナツんちから出てきてさ。『は!?』って思ったよ。
アンタを見送って1人になったマナツに問い詰めたら、全て分かった。
アンタとマナツで、あっちゃんを騙してお金を取ろうとしてたことがさ!
距離置こうってテキトー言って、あっちゃんが自然に離れてくのを狙ってたみたいだけど、あっちゃんはアンタとのことを諦めなかった。
だからアンタはナルミを利用して、後腐れなくあっちゃんと別れようとした……。
あっちゃんはバカだけど、さすがにもう、アンタの正体知っちゃったわけだし、見て見ぬフリはできないじゃん?」