リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
すぅっと、明子の目が牧野に向けられた。
その視線に、牧野は眉をくいっと上げで明子を見つめた。
「虫。取ってくださいね」
一瞬、なんのことだと考えた牧野は、お前が言えと言ったから言われた通りに頼んできたのかと悟り、そんな明子に目許を緩ませた。
「任せとけ。でもな、もっといい方法あるぞ」
「もっと、いい方法?」
なんですかと、牧野をみる明子の目元に口付けるように唇を近づけて、牧野は囁いた。
「俺のうちに越してくりゃ、お前はなににもしなくて、俺が育てて収穫したパセリとかシソとか食えるぞ」
どうだ、この案と尋ねてくる牧野に、きょときょとと明子の目は戸惑う。
そんな明子の鼻を笑いながら摘んだ牧野は、牧野は右の鎖骨に左手を伸ばす。
「いたいです」
鼻を撫でながら口を尖らせる明子に、うるせっと牧野は言い返した。
「素直に、はいと喜びやがれ」
「でもー。パセリとシソのために一緒に暮らすというのは、どうかなあと」
ちょっと動機としては弱いかなあって思うんですよねえとしたり顔で言う明子に、牧野はさらに言葉を並べ立てていく。
「アスパラガスもあるぞ」
「アスパラガス? 普通のお家で作れるんですか?」
「おぅ。苗を買ってきて植えればいいだけだよ。そんなに手間かからないんだ、あれは」
春になると、取れたてのアスパラガスを焼いて食うんだ。
いいだろうと自慢する牧野に、明子は頬を膨らませて「一人だけずるい」と、拗ねて見せた。
「一度に取れるのは二本、三本だけどな、四回、五回、収穫できるんだ、あれは。一人で食うならそれで十分だし。来年は少し株が大きくなるだろうから、もう少し採れるかもな」
「いいなあ。友だちと遊びに行ったときに食べたアスパラガスが、美味しかったなあ。採りたてって甘いんですよねえ」
そのときの味を思い出したようにうっとりとした顔でそう言う明子に、旨いよなあと牧野も同意するように頷いた。
その視線に、牧野は眉をくいっと上げで明子を見つめた。
「虫。取ってくださいね」
一瞬、なんのことだと考えた牧野は、お前が言えと言ったから言われた通りに頼んできたのかと悟り、そんな明子に目許を緩ませた。
「任せとけ。でもな、もっといい方法あるぞ」
「もっと、いい方法?」
なんですかと、牧野をみる明子の目元に口付けるように唇を近づけて、牧野は囁いた。
「俺のうちに越してくりゃ、お前はなににもしなくて、俺が育てて収穫したパセリとかシソとか食えるぞ」
どうだ、この案と尋ねてくる牧野に、きょときょとと明子の目は戸惑う。
そんな明子の鼻を笑いながら摘んだ牧野は、牧野は右の鎖骨に左手を伸ばす。
「いたいです」
鼻を撫でながら口を尖らせる明子に、うるせっと牧野は言い返した。
「素直に、はいと喜びやがれ」
「でもー。パセリとシソのために一緒に暮らすというのは、どうかなあと」
ちょっと動機としては弱いかなあって思うんですよねえとしたり顔で言う明子に、牧野はさらに言葉を並べ立てていく。
「アスパラガスもあるぞ」
「アスパラガス? 普通のお家で作れるんですか?」
「おぅ。苗を買ってきて植えればいいだけだよ。そんなに手間かからないんだ、あれは」
春になると、取れたてのアスパラガスを焼いて食うんだ。
いいだろうと自慢する牧野に、明子は頬を膨らませて「一人だけずるい」と、拗ねて見せた。
「一度に取れるのは二本、三本だけどな、四回、五回、収穫できるんだ、あれは。一人で食うならそれで十分だし。来年は少し株が大きくなるだろうから、もう少し採れるかもな」
「いいなあ。友だちと遊びに行ったときに食べたアスパラガスが、美味しかったなあ。採りたてって甘いんですよねえ」
そのときの味を思い出したようにうっとりとした顔でそう言う明子に、旨いよなあと牧野も同意するように頷いた。