リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「姫様は、死んでしまいたいと、昨日からずっと泣いているそうです。リストカット。薬。入水。飛び降り。なにが一番いいか、お勧めしてください。か」
「酷いことを書くなあ。これですかね。自殺未遂説の発端になっているのは」
「かもしれませんね。妊娠説はこれでしょう。子どもでもできていたら、もっと面白いことになるのにねって。なにを考えてるんだ、こいつら」
「なんだかなあ。江藤が管理人で、なんでお嬢様のことまで、こんなふうに面白おかしく書かせておくんだ?」
小林と岡本のため息合戦に、周囲にいる川田や村田まで、げんなりと言う顔つきになっていく。
常日頃、あれだけ美咲を頼っていながら、裏では美咲のことすらこんなふうに笑い者にしているその神経が、理解できないという感じだった。
そんな彼らを眺めながら、木村との会話を思い出した明子は、漠然と感じていた違和感が形になって現れたと、そんなことを考えていた。
「この時間だと、就業時間に、仕事そっちのけで書き込んでるんだよな、こいつら」
「少し締め上げないと、ダメですね。この連中は。なあ、これに登録しているヤツの一覧とかはあるのか」
「ここで見れますけど。みんな、本名でなんか登録していないし」
「まあ、それはそれ、調べてみないとな。ほれ。岡島だって、本名じゃなくてもバレちまっただろう。……野木。ちょっといいか?」
これ見てくれるか?
明子の背後に目を向けて、そう声をかける小林に、野木は無言のまま近づいて、ディスプレイを睨みつけるように眺めた。
「どうだ?」
「……去年まで、森口が住んでいたアパートです」
抑揚のない平坦な声には、深い怒りが篭っていた。
「酷いことを書くなあ。これですかね。自殺未遂説の発端になっているのは」
「かもしれませんね。妊娠説はこれでしょう。子どもでもできていたら、もっと面白いことになるのにねって。なにを考えてるんだ、こいつら」
「なんだかなあ。江藤が管理人で、なんでお嬢様のことまで、こんなふうに面白おかしく書かせておくんだ?」
小林と岡本のため息合戦に、周囲にいる川田や村田まで、げんなりと言う顔つきになっていく。
常日頃、あれだけ美咲を頼っていながら、裏では美咲のことすらこんなふうに笑い者にしているその神経が、理解できないという感じだった。
そんな彼らを眺めながら、木村との会話を思い出した明子は、漠然と感じていた違和感が形になって現れたと、そんなことを考えていた。
「この時間だと、就業時間に、仕事そっちのけで書き込んでるんだよな、こいつら」
「少し締め上げないと、ダメですね。この連中は。なあ、これに登録しているヤツの一覧とかはあるのか」
「ここで見れますけど。みんな、本名でなんか登録していないし」
「まあ、それはそれ、調べてみないとな。ほれ。岡島だって、本名じゃなくてもバレちまっただろう。……野木。ちょっといいか?」
これ見てくれるか?
明子の背後に目を向けて、そう声をかける小林に、野木は無言のまま近づいて、ディスプレイを睨みつけるように眺めた。
「どうだ?」
「……去年まで、森口が住んでいたアパートです」
抑揚のない平坦な声には、深い怒りが篭っていた。