リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
午前中の幸恵の仕事を確認して、明子は頭を垂れて、肩を落とした。
(なにも、してないの?)
(それとも、サーバにあげていかなかっただけの?)
(どっちですかーっ)
(原田さーんっ)
拳を突き上げて、うがーっと叫びだしそうな衝動を堪えて、明子は自分の仕事に取り掛かることにした。
意地になったような勢いでキーボードを叩きながら、明子は隣の木村に声を掛けた。
「木村くん。原田さん、具合悪そうだったの?」
「さあ。主任たちが行っちゃったら、あいつ、ほとんど席に着いてなかったし」
もう、気にかけてやる気力もなかったです。すいません。
続けられた木村の言葉に「いやいや、木村くんが気にかけることじゃないから、それはいいのよ」と、明子は苦笑を浮かべた。
「なんか、戻ってくるとキーボード叩きまくってましたけど、あれ、もしかしたら、ネットにあれこれ書き込みしていただけかもしれませんね」
「そっか」
そう言えば、朝から席についてパソコンに向かっていたけれど、なにかを調べているような様子ではなかったかもしれないと、明子は小さくため息を吐くしかなかった。
「お。小杉、発見」
覚えのある声で名を呼ばれ、振り返った明子は、そこにいた人物に笑い出した。
「なんですか、その帽子」
ウールの中折れハットを被った上原の姿に、明子はけたけたと声を上げて笑った。
「フランス帰りの俺を、みんなにアピールしてるんだよ」
どうだ、小粋だろう。
へへんと、得意げに笑う上原に「なんか、微妙ですよ」と、木村がへらりと笑いながら答えた。
(なにも、してないの?)
(それとも、サーバにあげていかなかっただけの?)
(どっちですかーっ)
(原田さーんっ)
拳を突き上げて、うがーっと叫びだしそうな衝動を堪えて、明子は自分の仕事に取り掛かることにした。
意地になったような勢いでキーボードを叩きながら、明子は隣の木村に声を掛けた。
「木村くん。原田さん、具合悪そうだったの?」
「さあ。主任たちが行っちゃったら、あいつ、ほとんど席に着いてなかったし」
もう、気にかけてやる気力もなかったです。すいません。
続けられた木村の言葉に「いやいや、木村くんが気にかけることじゃないから、それはいいのよ」と、明子は苦笑を浮かべた。
「なんか、戻ってくるとキーボード叩きまくってましたけど、あれ、もしかしたら、ネットにあれこれ書き込みしていただけかもしれませんね」
「そっか」
そう言えば、朝から席についてパソコンに向かっていたけれど、なにかを調べているような様子ではなかったかもしれないと、明子は小さくため息を吐くしかなかった。
「お。小杉、発見」
覚えのある声で名を呼ばれ、振り返った明子は、そこにいた人物に笑い出した。
「なんですか、その帽子」
ウールの中折れハットを被った上原の姿に、明子はけたけたと声を上げて笑った。
「フランス帰りの俺を、みんなにアピールしてるんだよ」
どうだ、小粋だろう。
へへんと、得意げに笑う上原に「なんか、微妙ですよ」と、木村がへらりと笑いながら答えた。